アメリカ小売大手、シアーズ・ホールディングスは現地時間の10月15日に連邦破産法11条の適用を申請しました。アマゾンに代表される小売業界の変革の波についていくことができずに、売上は低迷し続け、巨額の負債を残すことになりました。
シアーズのCEOは「次のウォーレン・バフェット」とも言われたエディー・ランパート氏でした。次のバフェットと噂されるほどビジネスに精通したランパート氏でしたが、シアーズを立て直すことができずに、結局シアーズの歴史に幕を降ろすことになりました。
「次のバフェット」と一時期噂されたほどの人物です、ランパート氏はかなり優秀な人であることは間違いありません。凡人であれば、次のバフェットなんて言われたりしないはずですし、大手企業のCEOに就任することもないはずです。
そんな彼の才覚をもってしてもシアーズの破綻を防ぐことはできませんでした。
興味深いことに、本家本物のウォーレン・バフェットはシアーズの破綻を13年も前に予想していました。バフェット氏は「長期間、売上が低下している小売業を回復させることは非常に難しい。復活した小売業の事例を思いつくだろうか?」と述べ、シアーズの未来が明るくないことを示唆していました。
シアーズ破綻の例は我々にひとつ大事なことを教えてくれます。
それは、「戦略のミスは戦術では取り返せない」ということです。かつて、ウォーレン・バフェットもバークシャー・ハサウェイの買収したのち、繊維事業の立て直しを諦めたことがあり、このことを経験しています。当時のバークシャーの繊維事業は右肩下がりであり、バフェットも立て直しに頭を悩ませました。しかし、どんなに考えても、どんなに優秀な人を呼びアイディアを出してもらっても、どの策もライバル企業が簡単にマネできるもので、結局長期的に立て直すことが不可能でした。結局バフェットは早々に繊維事業を諦め、投資会社としての運営に全力を注ぐことになります。
バフェット氏は自身のこうした経験から、今回のシアーズの破綻についても簡単に予想することができたのでしょう。
ビジネスの構造それ自体に欠陥がある場合には、どんなに優秀な経営者であっても戦術をもって立て直すことは難しいのです。
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