【SPXL】S&P500の3倍レバレッジETFの長期投資は億万長者への特急切符!?

S&P500

株式への長期投資は基本的にプラスになる

株式への長期投資には基本的にプラスの期待値があります。

 

 

ジェレミー・シーゲル教授の『株式投資の未来』によれば1957〜2003年までのS&P500のリターンは10.85%でした。また過去200年を調べると、インフレ調整後の実質リターンは、期間を長期的に取れば平均して6.5〜7%に収まるようです。これは1802〜1870年の期間でみても、1871〜1926年をみても、1926年以降でみても6.5〜7%に落ちつくようです。南北戦争や大恐慌、2度の世界大戦、オイルショックなど色んな事があった200年間でしたが、株式の実質リターンは6.5〜7%で一貫していました。

 

世界に目を移してみても、『楽観論者の勝利ーグローバル・インベストメント・リターンの101年』という論文の中で、イギリス人の学者によって世界16カ国の株式のリターンが調べれらました。その結果、リターンにバラツキはあるものの、調査対象の全ての国でプラスのリターンだったそうです。日本も調査対象でしたがもちろんプラスです。

 

株式投資は基本的にプラスサムゲームです。長期的に株式を保有すればプラスのリターンが得られます。それは歴史が証明しています。

 

だから、「積み立て投資で長期的に資産形成しましょう」などという謳い文句で金融機関が金融商品の勧誘をしてくるわけですが、謳い文句自体は間違っていません。(売りつけてくる金融商品は問題アリな場合が多いですが。)

 

S&P500連動型3倍レバレッジETF【SPXL】

ここまでなら教科書的な話ですが、少しばかし欲深くて、少しばかし賢い人ならば思いつく事があります。「プラスの期待値があるのならレバレッジをかければめっちゃ儲かるんじゃね?」と。

 

そんな思いに応える「レバレッジETF」という商品が出ています。

 

上述の通り、S&P500は過去10%ほどのリターンをあげてきた優秀なインデックスです。

 

S&P500についてもっと知りたい方はこちら

S&P500の分析記事一覧

 

そのS&P500に連動するレバレッジETFという夢のような商品もあります。ステッカーは 【SPXL】でS&P500の1日の動きに対して3倍で動くように設計されています。日本の証券会社からも普通に買う事ができます。

 

2018年10月29日現在までの過去5年間のリターンは36.35%です。

 

驚異的なリターンです。億万長者への特急切符のような夢の商品に思えます。

 

レバレッジ ETFの不安①

レバレッジETFは1年の変動幅に対してではなく、「一日の変動幅」に対して「何倍」という風に変動するので、実はトータルではキレイに指数の何倍とはならない商品です。

 

例えばS&P500が3日連続で10%上昇したとします。するとS&P500は1.1×1.1×1.1=1.31となりトータルでは31%の上昇です。しかし【SPXL】は1.3×1.3×1.3=2.197となり、トータルでは119.7%の上昇です。31%の3倍である93%にはなりません。3日連続で10%下落したとすると、同じくS&P500はマイナス27.1%ですが、【SPXL】はマイナス65.7%となります。

 

こうした特性のあるレバレッジETFは長期投資に向かないとよく言われています。というのも、相場が上がったり下がったりするボックス相場の場合に、徐々に価格が下がっていっていってしまう性質があるからです。

 

(日本取引所グループHPより)

 

日本取引所グループもこの点について注意喚起しています。「相場の方向感が定まらず、原指標が上昇や下落を相互に繰り返した場合、レバレッジ型指標は複利効果によって、原指標と比較してパフォーマンスが逓減して行くという特性がありますので留意が必要です。(日本取引所グループHPより)」

 

バロンズ誌も「本誌は以前から、レバレッジの利いたファンドやインバース型ファンドに対する注意を促してきた。短期的なヘッジや利益拡大の目的で熟練したトレーダーが使用することは多いが、保有銘柄の毎日の調整作業と複利効果の組み合わせが、莫大(ばくだい)な損失をもたらすこともあるため、長期保有の投資家には適していない。(バロンズより)」と指摘しています。

 

 

結論から言えば、レベレッジETFは長期で持ってもOK

レバレッジETFのこうした性質から短期投資向きで長期には向かないと言われています。

 

ですが、そうはいっても例えばS&P500のようなプラスの期待値のあるインデックスであれば、ボックス相場ですり減ってしまう特性を、複利効果で増やしていけるメリットが上回る可能性もあるんじゃないか?と考えました。

 

ただ、【SPXL】の過去のチャートがあればそれを見えばいいのですが、設定されたのは2008年10月なのでこれ以降のデータしかありません。(絶妙なタイミングで登場しましたね笑)過去のデータはリーマンショック以降のずば抜けた成績しかありません。魅力的な商品ですが、過去のデータもないままに投資に踏み切るのは私には無理です…。誰か【SPXL】のバックテストしてくれないかなー。

 

と思っていたら見つけました笑

 

One-Fund Portfolio With 22% CAGR Over 50+ Years, And Why You Should Avoid It」

 

というタイトルの英語記事ですが、【SPXL】を過去68年間でシュミレーションした結果が載っています。なんともありがたい記事です。

 

 

グレーのグラフがS&P500で緑のグラフがSPXLのバックテストの結果です。

 

期間中のS&P500のリターンは年率10.4%だったのに対し、レバレッジETFのリターンは22.6%でした。「10.4%の3倍で30%超え!」とはなりませんが、複利の増大効果もあって20%を超えるリターンでした。

 

22.6%のリターンってとんでもないです。1万円を22.6%で50年間運用したら2億6500万くらいになります。22%って世界No.1投資家のバフェットの生涯成績よりも2%弱くらい高いです。(というかバフェットすごいですね笑)

S&P500のような優秀なインデックスに連動するレバレッジETFならば、ボックス相場ですり減ってしまう特性を、複利効果で増やしていけるメリットが長期投資においても上回るという結果になりました。つまり、短期投資向けと言われていますが、長期投資でも有効であると言えそうです。

 

レバレッジETFの不安②

レバレッジETFは一日の値動きに対して何倍、というふうに動くように設計されているわけです。例えば今回の記事で取り上げている【SPXL】はS&P500指数の3倍動くわけです。

 

とすると、もし仮にS&P500が一日に34%下落してしまった場合、理屈の上では【SPXL】は消失してしまいます。まあ確率的にほとんどないようにも思いますが、ブラックマンデーは20%下落したわけですから、全くありえない話ではないように思います。株式投資では一定のリスクは負わなければリターンは生まれませんが、ある日突然価値がゼロになる可能性があるとすれば、リスクが一気に高まります。

 

しかし、その懸念は現状のルールが機能すれば問題なさそうです。

 

というのも、ブラックマンデーのように1日の変動幅が極端に大きく振れてしまうと社会的な影響も甚大になりますので、取引所は「サーキットブレーカー」という仕組みを設けています。サーキットブレーカーとは、一定以上の価格変動があった場合にその日の取引所の全取引を停止する仕組みです。

 

現状のルールでは、以下のようになっています。

 

サーキット・ブレーカー制度は2012年に改訂され、取引停止の発動基準を緩和した。また、ダウ平均に代わり、S&P総合500種SPXをベンチマーク指標とした。

現在のルールでは、S&P総合500種が、米東部時間の午後3時25分までに7%下落した場合、取引は15分間停止する。取引再開後も下落が続き、まだ3時25分前であれば、下落率が13%に達した時点で再び取引が停止される。もし3時25分以降に下落が続いていた場合は、取引は継続される。だが下落率が20%に達した場合、時間帯に関わらずその日の取引は終了となる。

REUTRESより)

というルールで行われていますので、S&P500の下落率の最大幅は20%までとなっています。サーキットブレーカーの発動を踏まえると、3倍レバレッジETFである【SPXL】の消失リスクは限りなくゼロに近いと言えそうです。

 

レバレッジ ETFの不安③

レベレッジETFの不安の3つ目はそのボラティリティです。

 

先ほどの記事では、年率22%という結果が出た上で、結論としてはレバレッジETFはオススメしていませんでした。

 

その理由としては、ITバブルが崩壊したあと、その最高値を更新できたのは2017年だった点です。ITバブルのてっぺんで買ってしまった人は20年近くも含み損を抱えてしまうことになったのです。基準のS&P500は2007年にはITバブルの時の最高値を更新しています。(もっともそのあとすぐにリーマンショックが襲うのですが。)レバレッジETFの特質上、複利効果が効くので上昇局面では力強く上昇するのですが、下落局面での下げるスピードも半端ではないのです。

 

実際に記事の中の【SPXL】の過去68年のバックテストでは、最大ドローンダウンはリーマンショック後の底値をつけた2009年3月の時点でマイナス97%を記録しています。

 

超長期で保有するならばこういったマイナスを無視すれば良いのですが、保有するのは感情のある生身の人間です。理論上はいつかプラスになると知っていたとしても、マイナス97%という急激な下落に耐えられるでしょうか。目の前で自分の資産が溶けていくのを平然と受け入れられる人はそういないでしょう。

 

歴史的に見れば一度買って持ち続ければ年率22%程度を期待的できるわけです。しかしながら、現在はリーマンショック後の景気回復ステージの最終盤でありますから、今から保有する場合は今後数年以内に最大ドローダウンのマイナス97%もあり得る、という【SPXL】というレバレッジETF特有のボラティリティを受け入れなければなりません。

 

その辺りを考えるならば、次の景気後退局面が来たタイミングで買うのが良いかなと思います。景気の信用サイクルというのは基本的に10年スパンで動いているわけですから、次の10年サイクルのはじめで買い入れるのが現実的な利用方法になりそうです。

 

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