アップルはiPhoneに代わる次の収益の柱を求めています。
今のアップルのはスティーブ・ジョブズが残したiPhoneというとてつもない「金のなる木」を持っています。この「金のなる木」は毎年じゃんじゃんお金を産み出します。ジョブズの跡を継いだクックCEOもiPhoneを可能な限り高い値段で売れるような戦略を取り続けて来ました。
しかしながら、iPhoneの威光も徐々に輝きを失いつつあります。
現在のアップルは売上の約6割をiPhoneに頼っており、iPhoneの売上がアップルの業績にダイレクトに影響します。
先日、中国経済の減速を受けて業績を下方修正しましたが、他の地域でもiPhoneの売上が思ったほど伸びてないことも大きな原因の1つです。
そんなアップルの次の収益の柱の候補には、サービス部門とAR(拡張現実)があげられます。
サービス部門
アップルの次の収益の柱はサービス部門であることはほぼ確定的です。
2018年では350億ドル(およそ3兆8500億円)だったサービス部門の売上は、2020年には500億ドル(およそ5兆5000億円)にまで膨れる見通しです。
モルガン・スタンレーのアナリストであるカティー・ハバティー氏は2023年までに1000億ドル、日本円で11兆円にまで売上が成長すると予想しています。
ハバティー氏の予想のようにサービス部門が加速度的な成長が実現すれば、ハードを売りさばく製造業からサービス業へと生まれ変わります。それはまさに企業の体質がApple as a Service「サービスとしてのアップル」に変貌することになります。
ソフト面で強みを発揮していた企業も近年は消費者と接点を持つためにハードの開発にも力を入れています。
グーグルやアマゾンは競うようにしてスマートスピーカーを販売していますが、これもハード面で消費者と接点を持つためです。
その点、アップルには世界でおよそ13億台が稼働するiPhoneを持っていますから、消費者と密な接点がすでにあるわけです。
こうしたハード面での強みは、サービス部門の成長を後押しすることになります。
AR(拡張現実)
スマートフォンはわたしたちの生活を一変させた画期的な発明でした。
そんなスマホは液晶画面を指で操作して動かすわけですが、画面のサイズという物理的な制約があります。
ゲームや動画を楽しむためには可能な限り大きな画面の方がいいです。しかしながら、物理的にポッケに入るサイズの限界があります。近年はスマホの大型化が進んでいますが、あまり大きくしすぎると今度はポッケに入らず、扱いづらくなってしまいます。
そうした悩みを解決するのがAR(拡張現実)です。
ARのイメージとしては、ポケモンGOがわかりやすいかと思います。
もしARの技術が実用化され、スマホに代わる機能を持たせることができたら、ポッケのサイズを気にすることなく大画面化できます。
実際にARグラス、ARメガネの研究は進んでいます。グーグルが以前にグーグルグラスというのを実用化したのですが、プライバシーも問題やデザインがダサすぎたこともあって中止になりました。ですが、最近になって再びARグラスのプロジェクトが復活したそうです。
アップルのクックCEOはたびたびARの技術に関して言及していますし、実際にAR関連会社を次々に買収しています。
次にアップルが本気で狙っている市場は間違いなくAR市場です。
将来的にはAR専用のグラスなどを販売させたいでしょうが、まずはiPoneとiPadでAR技術を普及させることです。
当然ARは専用のハード製品がなければいけません。世界中の人にARを使ってもらうためには、世界中の人にARが使える端末を所有してもらわないと始まりません。その点では、すでに世界で13億台以上のiPhoneが稼働しているアップルはこれから製品を開発して販売する競合よりもはるかに有利です。
世界で10億台以上のハード製品を持っていながら、同時にソフトも抑えているのは世界でアップルだけです。これは例えるなら、100m走でアップルだけ50mほど前からスタートするくらい有利な状況だと思います。AR市場での勝者はまだ不確実ですが、競合に比べてアップルがとても有利な位置にいるのは間違いなさそうです。
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