アメリカの大学バスケットボールの大会で、ナイキ製のシューズが破損し、出場していた選手がケガしました。
デューク大のFWザイオン・ウィリアムソンの履いていたナイキ製の左足シューズの裏が剥がれるというアクシデントが起き、足を滑らせたウィリアムソンはそのまま転倒、右足の膝を負傷して退場する運びとなりました。
たまたま試合を観戦していたオバマ前大統領が「彼の靴が壊れた!」と絶叫したこともあり、大きな波紋を呼んでいます。
今回の一件は、たかだか1足の靴の裏側が剥がれただけに思えますが、その影響は計り知れないほど大きくなる可能性があります。
これはナイキの今後数十年のビジネスの行く末が左右されるかもしれないほど大きなインパクトのある事件になりかねません。
注目度がとても高い大会で、かつ将来を有望視される選手がケガをしてしまったということでナイキのブランドイメージは損なわれました。専門家の間ではナイキのシューズの構造的な欠陥も指摘されており、ナイキにとっては悪夢です。
さらに、今回ケガをしてしまったウィリアムソン選手がプロ入り後に別のメーカーと契約し、「ナイキの靴は信用できないからメーカーを変更した」と発言すれば、ナイキのブランドは大きく毀損されます。
ナイキが引き続きウィリアムソン選手のシューズを提供できれば影響を小さくすることができますが、競合他社はナイキの自滅に乗じてシェア拡大を虎視眈々と狙っています。
実際に、この事件のすぐ後にプーマの公式ツイッターが「プーマならこんなことは起きなかっただろう」とツイートしました。(現在は削除されています。)
業績
ナイキはスポーツ界における圧倒的なブランド力を武器に高い収益性を誇ってきました。
ナイキはダウ30種に採用されているブルーチップであり、株価も過去5年間で2.27倍になるなど、今をときめくアメリカ企業です。
こうした業績を支えるのはブランド力であり、このブランド力が低下してしまえばナイキの輝きは失われてしまいます。今回の事件を上手く処理できなければ今日がナイキにとっての転換点になる可能性を孕んでいます。
しかし、ナイキのブランド力は強力であるため、よっぽど対応を間違えなければ今回の事件の影響を限定的に留められる可能性が高いと思っています。今後の動向に注目です。
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