アップルの著名アナリストであるミンチー・クオ氏はアップルが2019年第4四半期にもARヘッドセットまたはARグラスの量産を始めると予想しています。
初期のARデバイスは単独で使うのではなく、iPhoneに紐付いて利用する形になるとされています。Apple Watchのように初期はiPhoneに紐づけて、のちにiPhoneなしでも使えるように独立させていくことが予想されます。
そもそも、ARとは拡張現実と呼ばれる技術で、直感的に分かりやすいのはポケモンGOでしょう。
AR/VRの市場は今もっともホットな市場です。2017年時点で世界のVR/AR市場は1.5兆円ほどですが、2022年までに22兆円以上にまで拡大されると予想されている超成長市場です。アップルCEOのティム・クック氏はこれまでに何度もARの将来性について言及しており、実際にAR関連会社の買収も積極的におこなってきました。
アップルが発売したiPhoneはわたしたちの生活を一変させた画期的な発明でした。しかしそんなスマホにも弱点があります。それは画面のサイズという物理的な制約です。
ゲームや動画を楽しむためには可能な限り大きな画面の方がいいです。しかしながら、物理的にポッケに入るサイズの限界があります。近年はスマホの大型化が進んでいますが、あまり大きくしすぎると今度はポケットに入らず、扱いづらくなってしまいます。
ARグラス、ARヘッドセットが実用化されれば、ポケットのサイズという制約から解放され、その場の空間が画面になります。ポケットのサイズを心配することなく画面を大型化できます。
IT大手はここにきてAR市場への投資を加速しています。グーグルが以前にグーグルグラスというのを実用化したのですが、プライバシーの問題やデザインがダサすぎたこともあって中止になりました。ですが、最近になって再びARグラスのプロジェクトが復活したそうです。
また最近ではマイクロソフトが「ホロレンズ」という法人向けのARメガネを発表しました。マイクロソフトの製品は地味で、ともするとダサいですが、法人向けなら得意分野です。
ここ数年の動向から、アップルはAR市場を本気で狙っています。
当然ARは専用のハード製品(つまりはメガネ)がなければいけません。世界中の人にARを使ってもらうためには、世界中の人にARが使える端末を所有してもらわないと始まりません。しかし、現時点の技術力では単独で使えるAR端末を出すのはどこのメーカーでも無理でしょう。スマホと紐づけるなどして、スマホの補助ありのAR端末をとりあえずリリースするのが現実的なところかと思います。その点では、すでに世界で13億台以上のiPhone、iPad、Macが稼働しているアップルは、競合よりもはるかに有利です。
世界で10億台以上のハード製品を持っていながら、同時にソフトも抑えているのは世界でアップルだけです。これは例えるなら、100m走でアップルだけ50mほど前からスタートするくらい有利な状況だと思います。
グーグルやマイクロソフトなど他のIT大手はソフトは最強ですが、ハードとなるとイマイチです。性能はいいのでしょうが、「ダサい」のです。消費者が好んで使いたいと思わせるだけの洗練されたデザインが備わっていないのです。しかし、洗練されたデザインのITデバイスを作るのはまさにアップルのお家芸です。洗練されたデザインは熱狂的信者を生み出すほどの魅力があります。現在でもスマホの性能は対して他社と変わらないにも関わらず、そのデザイン性とブランド力で高価格が正当化されています。
AR市場での勝者はまだ不確実ですが、競合に比べてアップルがとても有利な位置につけており、クックCEOは第二の成長ステージとしてAR市場に狙いを定めています。
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