日経平均株価は1989年につけた3万8915円を30年間更新できずにいます。TOPIXの最高値も2888円と現在の1600円水準よりはるかに高い水準です。
30年前に日本株に投資をしても儲けゼロどころか、いまだに含み損です。こうした株価の推移を考えると、日本株の長期投資は報われないな、と思うのも無理はありません。
とは言うものの、株式というのは基本的にプラスになるのが普通です。『株式投資の未来』の著者ジェレミー・シーゲル教授は、株式のリターンの平均は7%に落ち着くことを突き止めています。この方は1802年から200年間の株式のリターンを調べ上げたという壮大なお仕事をされた方です。
さらに、世界各国の株式のリターンを調べた「楽観主義者の勝利ーグローバル・インベストメント・リターンの101年」という論文があり、その中では調査対象16カ国のすべての国の株式のリターンがプラスでした。もちろん日本もプラスでした。アメリカのみならず、株というのは本質的にプラスのリターンを生むのです。
では、なぜバブル崩壊から30年間を切り取るとマイナスリターンになってしまうのか、その理由はバブルの際の異常なバリュエーションでした。
バブルの頃の日経平均株価のPERは60倍を超えることもありました。PERは15倍前後が適切と言われていますから、いかにバブルの頃の日経平均が異様に高かったかが分かります。TOPIXについてもPER40倍で取引されており、こちらも高すぎてバリュー投資家が卒倒しそうな水準です。
自分が投資する際もPER30倍を超えるとなかなか手が出せません。
現在の日経平均のPERはおよそ13倍ですので、あの頃と比べるといかに落ち着いているかが分かります。
じゃあ日本株は終わっているのかと言われると、そうでもありません。
株価というのは
一株あたりの利益(EPS)×PER
で求めることができます。PERは利益の何倍で取引されてるのかを表しますから、このようになります。
バブルの頃と比べてPERは低下しましたが、実はEPSはかなり上昇しています。
1989年のTOPIXのEPSは約58円でしたが、現在のTOPIXのEPSは109円と日本企業の稼ぐ力は2倍程度になっています。
年率でいうと2.7%成長ですから、寂しい利益成長ではありますが、確実に成長しているのです。
2.7%のEPS成長と配当を合わせれば、株式のリターンとして3〜4%の利益が出ていてもおかしくないのです。仮にバブルの頃のPERが15倍ならおそらくリターンは4%ほどになるはずです。
4%成長なら仮に30年前に100万円投資すれば、複利成長で約300万円になっている計算です。
バブルの頃は異様なPERでしたので、PER60倍みたいなとんでもない高値で買ってしまった人は未だに含み損となっていますが、シーゲル教授の研究通り、株式のリターンはプラスになるのが本質です。
めちゃくちゃ高値で買ったらそれはさすがに取り返すのは難しい、という話です。EPS成長が3%もない株をPER50倍以上で買ったら儲かるものも儲かりません。
長期投資ならアメリカ株!という意見には基本的に賛成ですが、バブルを避けて買えば日本株でもそこそこ儲かるはず、ということです。